「自分に自信がない」

「何をやってもうまくいかない気がする」

「失敗すると、すぐに自分を責めてしまう」

「人から褒められても、素直に受け取れない」

そんなことはありませんか?

「もっと自信を持とう」

「自分を好きになろう」

「自己肯定感を高めよう」

そんな言葉を聞くことも多くなりました。

でも、

「自分を好きになるって、どうすればいいの?」

と思ってしまう人もいると思います。

僕も、「自分を好きになろう」と言われるほど、かえって難しく感じることがあります。

自信がないときに、

「自分を好きになればいい」

と言われても、そう簡単にはいかない。

だから今回は、「自分を好きになる方法」ではなく、

なぜ僕たちは、こんなにも自分を責めてしまうのか。

というところから考えてみたいと思います。


自己肯定感とは、そもそも何なのか

「自己肯定感」という言葉は、日常的にもよく使われます。

一般的には、

「ありのままの自分を受け入れ、自分の存在そのものに価値を感じられる感覚」

のように捉えられます。

ここで大切なのは、

「自分は何でもできる」

「自分は人より優れている」

「自分には欠点がない」

ということではない、ということです。

むしろ、

「失敗することもある」

「苦手なこともある」

「人より劣っている部分もある」

「落ち込むこともある」

そんな自分も含めて、

「それでも自分は自分でいい」

と思える感覚に近い。

だから、自己肯定感が高い人というのは、常に自信満々な人とは限りません。

失敗すれば落ち込む。

嫌なことがあれば傷つく。

自分の欠点に悩むこともある。

それでも、

「失敗した自分=価値のない人間」

とは考えない。

この違いが、とても大切なのだと思います。


自己肯定感が低い人にありがちな考え方

自己肯定感が低いとき、頭の中ではどんなことが起こっているのでしょうか。

例えば、

「仕事でミスをした」

という出来事があったとします。

自己肯定感が低い状態だと、

「また失敗した」

「自分は仕事ができない」

「周りにも迷惑をかけた」

「自分はダメな人間だ」

というところまで、一気に話が広がってしまうことがあります。

でも、よく考えてみると、

「仕事で一度ミスをした」という事実と、「自分はダメな人間だ」という結論は、同じものではありません。

一つの出来事から、

「自分そのもの」まで否定してしまう。

これが、自分を苦しめる大きな原因の一つです。


「できなかった自分」ばかり見てしまう理由

人は、自分の失敗や欠点に意識が向きやすいものです。

10個うまくできたことがあっても、

1個の失敗が気になって眠れない。

誰かから9回褒められても、

1回の否定的な言葉が頭から離れない。

そんな経験はないでしょうか。

「できたこと」は、

「まあ、できて当然」

と処理してしまう。

一方で、

「できなかったこと」は、

「なんでこんなこともできないんだ」

と何度も振り返ってしまう。

こうして、

自分の中に「できなかった自分」の証拠ばかりが集まっていく。

すると、

「自分は何をやってもダメだ」

という自己イメージが強くなっていきます。

でも、本当にそうなのでしょうか。

できなかったことだけを集めて、

「これが自分のすべてだ」

と判断してしまっていないでしょうか。


自分を責めることが、必ずしも成長につながるわけではない

「自分に厳しくしないと成長できない」

と思っている人もいるかもしれません。

「こんなことで満足してはいけない」

「もっと頑張らなければ」

「自分はまだまだだ」

そうやって自分を追い込む。

確かに、反省することは大切です。

失敗したら、

「何が原因だったんだろう?」

「次はどうすればいいだろう?」

と考えることには意味があります。

でも、

「反省」と「自己否定」は別のものです。

反省は、

「この行動を改善しよう」

という方向に向かいます。

自己否定は、

「自分はダメだ」

というところで止まってしまう。

前者は次の行動につながります。

後者は、自分のエネルギーを奪ってしまいます。

だから、

「自分を責めること」と「自分を成長させること」を、一度切り離して考えてみる必要があるのだと思います。


「事実」と「自分への評価」を分けてみる

自分を責めてしまうときに役立つのが、

事実と評価を分けること

です。

例えば、

「プレゼンで言葉に詰まった」

これは事実です。

そこから、

「自分は人前で話すのが下手だ」

というのは、自分による評価です。

さらに、

「だから自分には価値がない」

となれば、それはもっと大きな自己評価です。

こうして分けてみると、

「一つの出来事から、かなり大きな結論を出していたんだな」

と気づくことがあります。

もし、

「プレゼンで言葉に詰まった」

という事実だけを見たら、

「次はもう少し練習しよう」

で終わるかもしれません。

つまり、

出来事そのものよりも、出来事に対して自分がどんな意味づけをしているか

が、自分の心に大きな影響を与えていることがあります。


「できたこと」に目を向ける練習

自分を責める癖がある人ほど、

「できたこと」を見つける練習をしてみてもいいと思います。

例えば、一日の終わりに、

「今日できたことを3つ」

書いてみる。

大きなことでなくて構いません。

「ちゃんと起きた」

「仕事に行った」

「誰かにありがとうと言えた」

「少し散歩した」

「やるべきことを一つ終わらせた」

「疲れていたけど、ご飯を食べた」

そんなことでいい。

なぜなら、

自分の価値を証明するためではなく、「できた自分にも目を向ける」ため

だからです。

「できなかったこと」だけを見ていると、

「今日の自分は何もできなかった」

という感覚になります。

でも、できたことも拾ってみると、

「意外といろいろやっていたな」

と気づくことがあります。


自分を褒めるのが苦手なら、「労う」から始めてもいい

「自分を褒めましょう」

と言われても、

「いや、褒めるところなんてない」

と思う人もいるでしょう。

そんなときは、無理に褒めなくてもいいと思います。

例えば、

「今日もよく頑張ったな」

「大変だったよな」

「疲れていたのに、よくやったな」

と、自分を労ってみる。

「すごい!」

「最高!」

と大げさに褒める必要はありません。

むしろ、

「よくやったね」

と自分に声をかけるくらいでいい。

自分に対する態度を、

「批判する人」から、

「味方でいてくれる人」

へ少しずつ変えていく。

そんな感覚です。


自分を好きになれなくても、自分を大切にはできる

「自分を好きになりましょう」

という言葉は、ときにハードルが高すぎます。

今の自分が嫌いなのに、

「好きになれ」

と言われても難しい。

だったら、

「好きになる」ことを目標にしなくてもいい。

まずは、

「自分を雑に扱わない」

ことから始めてみる。

疲れているのに無理をさせ続けない。

失敗したときに、必要以上に自分を罵らない。

嫌なことをされたときに、「自分が我慢すればいい」と決めつけない。

自分の気持ちを、

「そんなこと感じるなんてダメだ」

と否定しない。

それだけでも、

自分との関係は少しずつ変わっていきます。


自己肯定感は「自分を無条件に好きになること」ではない

ここまで考えてみると、

自己肯定感とは、

「自分のことが大好き!」

という状態だけではないのだと思います。

失敗しても、

「まあ、そういうこともある」

と思える。

自分の欠点を知っていても、

「それが自分の全部ではない」

と思える。

他人より劣っている部分があっても、

「だから自分には価値がない」

とは考えない。

うまくいかない日があっても、

「今日はダメだった。でも明日も生きていけばいい」

と思える。

そんな、

「自分に対する基本的な信頼」

のようなものなのかもしれません。


「自分を責める癖」に気づくことから始めよう

もし、あなたがよく自分を責めてしまうなら、

まずはそれをやめようとしなくてもいいと思います。

「あ、今また自分を責めているな」

と気づくだけでいい。

例えば、

「なんでこんなこともできないんだ」

と思ったら、

「今、自分にかなり厳しい言葉をかけているな」

と気づく。

そして、

「もし同じ失敗をした友達がいたら、僕はその人に何て言うだろう?」

と考えてみる。

おそらく、

「そんなに自分を責めなくてもいいよ」

「次に気をつければいいよ」

と言うのではないでしょうか。

だったら、その言葉を少しだけ自分にも向けてあげる。

自分だけに厳しいルールを課さない。

それだけでも、心の中の空気は変わっていきます。


まとめ|「自分を好きになる」より、「自分の敵にならない」

自己肯定感を高めようと思うと、

「もっと自信を持たなきゃ」

「自分を好きにならなきゃ」

「ポジティブにならなきゃ」

と考えてしまいます。

でも、そんなに急がなくてもいいのだと思います。

まずは、

自分の敵にならないこと。

失敗したとき、

「自分はダメだ」

と全部を否定するのではなく、

「今回はうまくいかなかった」

と、出来事と自分自身を分ける。

できなかったことだけではなく、

できたことにも目を向ける。

自分を好きになれない日があっても、

自分を雑に扱わない。

自信がなくても、

自分の気持ちを無視しない。

そんな小さな積み重ねが、

少しずつ「自分は自分の味方でいていい」という感覚につながっていくのだと思います。

もしかすると、自己肯定感とは、

「自分のことを大好きになること」ではなく、どんな自分であっても、自分を見捨てないこと

なのかもしれません。

うまくいった日も。

失敗した日も。

自信がある日も。

何もしたくない日も。

「今日の自分も、まあいいか」

と、少しだけ自分に優しくする。

そんなところから、自分との関係を変えていくことができるのではないでしょうか。